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今回は、不動産クラウドファンディングについてです。
不動産クラウドファンディングとは
不動産投資クラウドファンディングは、文字通り「不動産」に投資する「クラウドファンディング」である。
まず、クラウドファンディングは、不特定多数の投資家から資金を調達するファンドだ。基本的にはインターネットを通じて電子上で募集されるのが特徴である。
不動産投資クラウドファンディングは、集めた資金を特定の物件に投資して、賃料収入や売却益を原資とする分配金を投資家に配分するファンドとなる。
実際の物件を購入して行う不動産投資では、物件購入のために高額な資金が必要だ。これに対して不動産投資クラウドファンディングでは、最小1万円程度の少額から投資が可能である。
個人で現物の不動産等を購入する場合、アパート・マンションや戸建てといった賃貸住宅が中心となる。対して、不動産投資クラウドファンディングは、プロが物件を厳選して運営することにより、さまざまな物件に投資できるのが特徴だ。
不動産クラウドファンディングは「不動産特定共同事業法(不特法)」という法律に基づいて組成される。通称「不特法」にて、宅地建物取引業の免許保有や営業体制などに関する、規制がなされている。
不動産クラウドファンディングにおける主な投資先
不動産投資クラウドファンディングでは、次のようなさまざまな不動産に投資ができる。
・賃貸住宅
・商業施設やオフィスビル
・海外不動産
・開発用地
・そのほか理念を重視したプロジェクト
基本的には、このなかのいずれかに属する1つもしくは少数の不動産に投資する仕組みだ。
それぞれの不動産について順番に説明していきたい。なお、以下の説明は、あくまで一般的な傾向をまとめたものである。実際の投資不動産の特徴はファンドにより大きく異なるため、投資前に必ず各ファンドの目論見書や商品説明を確認してほしい。
個人の現物投資でもしばしば投資対象となる賃貸住宅は、不動産投資クラウドファンディングでもよく見られる投資先だ。
投資対象も戸建て住宅、アパート、マンションとさまざまなタイプの賃貸住宅のファンドがある。都市部の物件に投資する銘柄が多いものの、中には地方の住宅地に投資する銘柄も見られる。
住宅は景気変動の影響を受けにくく、安定した賃料収入が見込まれる。そのため、不動産投資クラウドファンディングのなかでも、一段と元本毀損リスクが低いと期待される。
商業施設やオフィスビルへ投資するファンドも多い。商業施設・オフィスビルとは企業や個人事業主などが、事業を営む目的で入居する施設である。
賃料収入が分配金の原資となる点は住宅と同様だが、事業向けの不動産は景気動向次第で空室リスクが変化しやすい。景気悪化局面では、賃料収入の減少や売却時の価格下落リスクが相対的に大きくなる。
なお、賃料収入目当てのファンドのほか、再開発物件やリノベーション予定の物件を取得して、運用期間中の資産価値の向上を通じたキャピタルゲインの獲得を目指すファンドも少なくない。
海外不動産に投資する不動産投資クラウドファンディングもある。日本国外にある住宅やオフィスなどに投資して、分配金を投資家に還元するのが特徴だ。現地の不動産市況次第では、海外の方が魅力的な賃料を獲得できるケースも多い。
海外不動産の賃料は外貨で徴収されるため、分配金や償還金を支払うために円転する際に、為替変動の影響を受けるファンドもある。運用期間中に円高が進んでいれば、損益が悪化するリスクがあるのだ。
そのほか、不動産投資クラウドファンディングならではの投資戦略として、開発用地に投資するファンドがみられる。
一例をあげると、COZUCHIの「箱根町 強羅 事業用地 フェーズ2」ファンドは、将来別荘になる予定の土地に投資するファンドである。土地の開発や権利取得を進めることで、資産価値を向上させて、キャピタルゲインを追求するファンドだ。
こうした開発用地への投資では、賃料収入が得られないため、実質的に不動産の価格収益が分配金の源泉となる。賃料収入を原資としたファンドよりもハイリスク・ハイリターンな傾向があるといえるだろう。
以上の他に、特定の理念を重視したファンドもみられる。最近ではサステナビリティ投資への注目が高まっており、これらの意図を狙ったファンドが散見される。
たとえばCrealの「PAL国際保育園@東京外大」では、認可外保育園へ投資するファンドだ。投資家への利益還元と共に、保育園での国際教育を促進する事を目指して組成・運用されている。
また、信長ファンディングの「 コレクション名城公園Ⅱ North・South」は、太陽光パネル付きの木造アパートへの投資を通じて、脱炭素社会の実現へ貢献するファンドだ。
このように、特定のテーマや理念のもと投資先の選別・実行が行われるファンドも少なくないのだ。
代表的な5つのサービスとその特徴をご紹介
さまざま不動産投資クラウドファンディングのなかから、LIFULL不動産クラウドファンディング以外で代表的なサービスを5つ紹介する。
①COZUCHI
COZUCHIは、都心部の不動産を中心に多様なタイプの不動産に投資するファンドを組成する不動産投資クラウドファンディングサービスだ。
日本マーケティングリサーチ機構の調査によると2024年4月時点での不動産投資クラウドファンディング累計投資額がトップとなっている。すでに700億円超の資金をファンドで集めて投資をしている。
次の図のように都心部の物件が多いものの、リゾート地や観光地のホテル開発、物流施設の開発用地など特徴的なファンドも散見される。
銘柄によってはキャピタルゲインを積極的に追求する方針を取っており、予定利回りと実際の利回りが大きく異なる可能性もある。たとえば「 渋谷区広尾底地プロジェクトフェーズ3」は予定利回り4.5%に対して33%の利回りを達成した。
こうした銘柄は、一般には市況が悪化すれば元本毀損リスクも高まる。ただし、COZUCHIにおいては、2024年9月時点で償還済みの全ファンドが予定利回りと同等もしくはそれ以上のリターンを実現している。
②creal
crealは東証グロース市場に上場する「クリアル株式会社」が運営する不動産投資クラウドファンディングだ。これまで、元本割れを1件も起こさずに償還できているのが特徴である。
都内の賃貸住宅への投資が多いものの「(仮称)CREALロジスティクス稲毛」では物流施設に投資している。
また、ホスピスへ投資する「ファミリー・ホスピス中島公園ハウス」保育園へ投資する「(仮称)ミラッツ市川宮久保保育園」など、社会貢献を果たす物件へ投資するファンドも散見されるのが特徴だ。
出所:creal|ファンド一覧
crealは基本的に、予定利回りを配当の上限とする方針のため、キャピタルゲイン等により配当額が上振れすることは通常ない。安定性を重視する方におすすめのファンドといえるだろう。
③TECROWD
TECROWDは他のクラウドファンディングに多く見られる、一般的な国内の賃貸住宅のファンドが相対的に少ない。2024年時点では、障がい者向けグループホームと海外不動産のファンドを中心に定期的に組成されている。
TECROWDは、想定を上回るキャピタルゲインが出たときには、投資家に一部を還元する可能性がある。実際に、過去には予定利回りを上回る実績を出したファンドも見られた。
たとえば、32号「AMANEKU平塚徳延」 ファンドでは、予定利回り5.50% に対して、15.71%の利回りを実現した。海外へ投資する不動産では、利回り10%超と相対的に高利回りなファンドも散見される。
為替リスクを伴う点がWebサイトに明記されているが、2024年10月時点での償還ファンドでは、予定利回りを下回ったファンド事例はない。
④利回り不動産
利回り不動産は、都心部のマンション・オフィスへ投資するファンドが多い一方で、福井や沖縄など地方ヘ投資するファンドも少数派ながら投資している。
2024年に入ってからは、全て12ヶ月以上の運用期間を予定しているファンドがである。また、2024年10月時点で全てのファンドが元本を毀損せずに償還している。
京都の町屋再生を目指す「京都町屋再生PJ第二弾」のように、特定のテーマの元運営されるファンドもある。
利回り不動産では「ワイズコイン」という独自のポイントプログラムを導入している。ファンドに投資する獲得できるポイントで、投資に充当したりAmazonギフトに交換したりできる。
⑤TSON FUNDING
TSON FUNDINGは、中部地方を中心に運営されている不動産投資クラウドファンディングである。2021年時点では中部地方に本社が企業としては、ファンド運用数やファンド総額がNo1だった。
運営会社が名古屋にあるため、愛知県内の物件へ投資するファンドが多く見られる。賃貸住宅へ投資するファンドがほとんどを占めるのも特徴だ。マンションは少なく、低層アパートや戸建てへ投資するファンドが多い。
ESGやSDGsへ配慮したファンドとして「森林再生」ファンドシリーズもある。これは、木造住宅の炭素貯蔵力に着目したファンドである。
LIFULL 不動産クラウドファンディングについて
数ある不動産クラウドファンディングのひとつに2024年8月に新たにサービスを開始した「LIFULL 不動産クラウドファンディング」がある。このクラウドファンディングは一口1万円から投資が少額投資が可能だ。
LIFULL 不動産クラウドファンディングにおいて、LIFULL Investmentは投資家を集める募集媒介事業者として運営している。ファンド自体の運営は、同社が認めた優良な事業者が行う仕組みとなっている。
ファンド毎に事業者を分散することで、運営事業者の倒産リスクが分散されているのが特徴のひとつである。詳細は、こちらから公式のWebサイトを見てみてほしい。
まとめ
不動産投資クラウドファンディングは、少額投資ができるだけでなく、さまざまな不動産に投資ができるのが特徴である。
住宅のほか、商業施設、オフィス、海外不動産や開発用地などへ手軽に投資できる。ESGやSDGsなど社会貢献性を重視した投資を検討している人も、不動産投資クラウドファンディングでの投資を検討してみると良いだろう。
不動産投資クラウドファンディングでは、利用するサービスによって扱うファンドの特徴が異なる。過去のファンド組成実績から、どのようなファンドを販売したかを確認のうえ、自分の投資スタンスにあったサービスを選んでほしいです。