うめきた2期などの効果続く 福島区福島の上昇率21.6％ 大阪圏3位
大阪の地価上昇が加速している。国土交通省が9月に発表した都道府県地価（基準地価）によると、大阪市の商業地の地価上昇率は10.6％で、前年の5.5％から2倍近く拡大した．大きく寄与したのは、「うめきた2期（グラングリーン大阪）」はじめJR大阪駅周辺の「キタ」の大規模な再開発だ。
巨大公園やオフィス、ホテルなどに人が流れ込むことへの期待から、隣接する場所も地価は上昇。こうした動きは、大阪駅を中心とするエリアや、鉄道で繋がる南森町駅、福島駅といったエリアも不動産投資の対象として有力な候補となることを示しているので、注目していきたい。
具体的に、大阪駅周辺の再開発エリアを中心とする目立った地価の動きを見てみよう。
上昇率が大きく広がったのは、グラングリーン大阪の西側に位置する大阪市福島区福島6の20の2の「チェリーヒルビルPART2」だ。
1平方メートルあたりの地価は141万円で、この1年での上昇率は21.6％。前年の11.5％からおよそ10ポイント広がった。上昇率の大きさは、大阪圏で3位だった。
グラングリーン大阪をはじめとする大阪駅周辺の再開発への期待が押し上げた格好だ。
一方、グラングリーン大阪に隣接する「うめきた1期」の主要施設として2013年に開業した「グランフロント大阪」南館（大阪市北区大深町4の20）の地価が、1平方メートルあたり2390万円だった。上昇率こそ前年比3.9％で、1年前の4.5％から鈍化したものの、地価そのものは大阪圏1位、全国でも6位だった。
さらに、JR大阪駅の南側、阪神電鉄大阪梅田駅の近くにある「大阪第一生命ビルディング」（大阪市北区梅田1の5の1）が1平方メートルあたり1870万円だった。上昇率は前年比8.7％で、1年前の6.2％から拡大。地価そのものは大阪圏3位だった。
今年7月にはイノゲート大阪やKITTE大阪もオープン きたの賑わい後押し
キタでの地価上昇が目立つのは、先ほど述べたように、大阪駅周辺での再開発が加速しているからだ。
グラングリーン大阪については、今年9月29日配信の「大阪最後の一等地「グラングリーン大阪」先行開業！巨大公園や商業ビルで賑わい生まれ不動産投資に好機！」でも説明した。
先行まちびらきしたのは9月6日。巨大な面積を誇る都市公園「うめきた公園」の一部や複合ビル「北館」に入る店舗やホテル、産官学の連携拠点などがオープンした。
全面的な町びらきは2027年度を予定している。すでにうめきた公園を中心に大勢の人で賑わっており、今後はオフィスに塩野義製薬、クボタといった大企業の本社や、ホンダの研究開発拠点などが入る予定だ。ますますここで働く人が増え、近隣エリアでの賃貸需要が拡大していくことだろう。
このほかのJR大阪駅近くの再開発も見てみる。
今年7月には、大阪駅西口に直結する、JR西日本の新しい駅ビル「イノゲート大阪」がオープンした。オフィスが入るのはもちろん、2～5階は飲食店が入居するゾーンとなる。これまで大阪駅の西側には少なかった、会社員が気軽に食事できる場所となりそうだ。
また同月、イノゲート大阪から線路を挟んで向かい側の、旧大阪中央郵便局跡地にある「JPタワー大阪」内に、商業施設「KITTE大阪」がオープンした。
JPタワー大阪の地下1階～地上6階を占め、100以上のレストランや小売店が入る。KITTEはJR東京駅のそばにもあり、平日、休日を問わず賑わっている。同じ賑わいがJR大阪駅のそばでも生み出されることが期待される。JPタワー大阪の中には、高級ホテルも入っている。
大阪駅周辺だけでなく、鉄道で直結するエリアの賃貸需要も拡大へ
ここで紹介した施設は、互いに通路などで結ばれ、行き来できる。回遊性が悪いと言われてきた梅田周辺の欠点が改善することになり、人の流入をますます加速させることになるだろう。
このように大阪駅や梅田周辺での賑わいが増せば、当然、働く人も増え、周辺地域の賃貸需要も高まっていくはずだ。
大阪駅や梅田と電車で直結し、なおかつ住みやすいと言われているのは、例えば大阪メトロ谷町線の南森町駅や、JR大阪環状線の福島駅だ。電車だけの時間を見ると、いずれも大阪駅、梅田方面へ数分で行ける。
ちなみに南森町駅の近くには日本一長い商店街「天神橋筋商店街」がある。福島駅周辺は治安の良さで有名だ。
南森町駅や福島駅をはじめとして、これから賃貸需要の拡大が見込める場所は大阪市内にいくつもあるだろう。一方、これらの場所は、大阪駅周辺の再開発に対する期待をすでに織り込み、物件価格がかなり上昇している可能性もある。買えたとしても十分な利回りを見込めない物件もあるだろう。
「自分の資金の余力はどの程度なのか」「どれくらいの利回りがあれば自分の目指す不動産投資戦略を実現できるのか」などをしっかり見極めながら物件探しを進めていきたい。
