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片山です。
3年にもわたったコロナ禍でホテル業界は大きな影響を被ってきたが、国による全国旅行割などのキャンペーン効果、インバウンド受け入れの再開などでようやく息を吹き返してきているのがホテル業界の現在地である。
こうした支援策のおもなものは、旅行支援に限られるため、ビジネスホテルの業績回復はいまだに道半ばともいえる。ビジネス出張は、会議や打ち合わせをオンラインで行うことがコロナ禍で常態化したことも相まって、不要不急な出張はせずに、オンラインで済ませてしまうようになったことが背景にある。
したがって最近の新規ホテルの開業を紐解くと、ビジネスホテルではなく、インバウンドを含めた観光に主軸を置いたホテルの開業が目立っている。
とりわけ外資系ホテルの進出は活発で、中でも高級ブランドの開業が相次いでいる。また弊社の調べによれば、2023年および24年のわずか2年間で、国内では高級外資系ホテルブランドの開業予定が主な計画だけでも30施設6329室に及んでいる。
外資系高級ホテルはこれまでは東京、京都、大阪といった日本を代表する都市に進出していたものの、国内地方都市への出店はリゾート地の沖縄を除いては行われてこなかった。ところが最近では地方への積極的な出店が相次ぐようになっている。
最近の事例では金沢には2020年にハイアットセントリック、ハイアットハウスの2棟が相次いでオープン。富山でもヒルトンがダブルツリーbyヒルトン富山を今年1月にオープンした。中国・九州エリアでは長崎と広島にヒルトン、鹿児島にはシェラトンがオープンした。
福岡には今年6月に県内では初の5スターホテルとなるザ・リッツ・カールトン(162室)がオープンを予定している。京都に押され気味だった奈良にもJWマリオットが158室を構えた。
地方主要都市への進出ばかりではない。国内リゾート地への進出も活発だ。
北海道ニセコエリアでは、プリンスホテルをリブランドしたヒルトンニセコビレッジをはじめ、パークハイアットはホテル棟とは別にレジデンスを分譲。レジデンスは専有坪あたり1000万円を超える価格にもかかわらず日本人投資家にも大人気だったという。
またリッツカールトンもオープン。世界中から集まるスキーヤーを目当てにした進出が相次いでいる。この流れは長野県の白馬(コートヤードbyマリオット)にも波及。岩手県の安比高原ではIHGによる1000室を超えるリゾートホテル計画が進行中だ。
そしてスキーばかりではなく、日本の代表的な観光地、温泉地にも及んでいる。代表的な避暑地である長野県軽井沢には軽井沢マリオットホテル、ヒルトン系列のキュリオ、そして昨年はIHGの提唱するライフスタイル型ホテルであるインディゴ軽井沢がオープンし好評を博している。また日光にはマリオット系列の最高級ブランドであるザ・リッツ・カールトン日光がオープンし耳目を集めた。
温泉地においては2019年に大分県別府市に九州で最初の5スターホテルとなるANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパが開業。箱根、犬山(愛知県)にはインディゴがオープン。日本の温泉リゾートへの進出が相次いでいる。
またマリオットグループではフェアフィールドのブランド名で、全国の道の駅を中心にモーテルタイプのホテルの供給を始めている。西日本の和歌山、兵庫、岡山、三重、京都などを中心に北海道や栃木などでも幅広く展開。車やバイクで国内を周遊する顧客層に的を絞った戦略をとっている。
高級外資系ホテルの誘致を行うことが肝要だが、地方地域にとっての経済効果は意外と大きい。
地方都市や観光地にとって外資系ホテルを誘致することは、これまでとは異なる外国人富裕層を取り込めることになる。
インバウンドというと、以前あったような中国人観光客が2泊3日で東京から大阪の間を動き回る弾丸ツアーばかりが喧伝されたが、今は富裕層が日本の地方都市や温泉地、リゾート地を中長期で楽しむ姿が目立ち始めている。
また日本人富裕層の間でも、スタンプラリーのように動きまわるのではなく現地での滞在を楽しむスタイルの旅行も定着している。ワーケーションの普及もあいまってこれからの新しい旅の姿は、地元に多くの金を落とすことにつながるだろう。
実際に高級外資系ホテルがオープンしたあとの別府温泉では、市内の平均宿泊単価が1000円アップしたというデータがある。
高級外資系ホテルの進出を好機ととらえ、地域の付加価値向上につなげていきたいものである。
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